湯之上隆さん(微細加工研究所所長)インタビュー

 

半導体の微細加工技術の開発に16年以上従事していた研究者、工学博士の湯之上隆さん。
資料があふれてしまうので、自宅とは別に設けてあるんです」という仕事部屋へ一緒に向かう。

研究者魂の出発点は、昆虫図鑑を手にした幼少期から。「できれば、このページに載ってあるすべての生き物を飼ってみたい」。そんな想いを描いていた湯之上少年の興味は、人間よりも歴史が長く、空を飛び水の上も歩くことが出来るスーパー昆虫「ゴキブリ」へとつながった。

牛乳瓶に餌を入れて集め、それだけでは統計資料として不十分だと、隣近所に協力を仰いで、個体数を集めた。その数200匹。「不思議なもので、それぞれ個体を判別できるようになるんです」。その雑食性を研究した内容は、県知事賞を受賞し、代わりにクラスの女子には嫌われた。そのゴキブリの顛末は「最後は野に放ちましたよ(笑)」。

その後、中学で「ゴキブリの話」(石井進、岩波文庫)という本を読んで、石井進を目指して京大農学部へ。しかし入学してから、憧れの先生はすでに退官していたことを知る。生命科学の本を独学していくうち、数学や理科がわからないと資料が読めないことに気づき、転部して理学部数学科へ。そのうち物理学の美しさに惹かれ、京大の原子炉実験所まで進んだ。

ある日、分析に使うパソコンの中味がどうしても気になり、「分解してしまった」そこで集積回路の不思議に取り付かれた。昆虫から始まったものごとへの興味は、数学物理学をへて、集積回路へとつながった。一つ一つは無関係のように見えるが、不思議を解き明かしてみたいという想いは「湯之上軸」として繋がっている。