金谷俊一郎さん(日本普及機構代表理事,歴史コメンテーター)インタビュー

「自利とは利他をいう」

解説

幼少期より、日本舞踊や歌舞伎などの伝統芸能に親しんできた金谷俊一郎さん。2、3歳の頃は長唄や三味線、6歳からは日本舞踊をやっていた。将来は、歌舞伎の脚本や能の謡曲を書きたいと思っていた。また、偉人の伝記を読むことを好み、家にあった松下幸之助や豊田佐吉、ロックフェラーにアンドリュー・カーネギーと読み漁っていた。家の書棚を読み終えると、学校の図書館、市の図書館〜と広げていった。府立図書館では書庫にある、戦前の木村長門守、武内宿禰神や神功皇后まで全部読むなど、好きなことに熱中する力を持っていた。

高校生になると、その情熱はラジオに注がれた。MBSの「ヤングタウン」という番組は、月曜日が鶴瓶師匠、火曜日が飛鳥。水曜日が明石家さんま、木曜日が紳助師匠、金曜日が谷村新司、そして土曜日が当時、大人気の「あのねのね」という豪華な布陣だったが、その裏番組で、ある日、今は脚本家の先輩から「コーナーのネタを」と依頼を受けた。それが好評で、高校時代は給料付きの放送作家として、現在の伝える活動の「根」を広げた。

歌舞伎の脚本を書きたいという想いも、伝記を編纂したいという願いも、予備校で日本の歴史を教えていたことも、根底に「日本人の美徳や精神を伝えたい」という想いが流れていて、その伝える場所を求めてその時々で出来ることをやってきた。

日本にある素晴らしいものを現代の人に分かるように伝える、思想を現代に伝える。「歴史上の人物たちが人生をかけて、考えたことや思いを受け継ぐ仲介役と考えている。」スマイルズの自助論を中村正直が翻訳した『西国立志編』も、深く共鳴し、想いを受け継ぎ広めたいという想いから、みずから現代語訳にした。

「自利とは利他をいう」

大乗仏教の経論に出てくる「自利利他」を伝えた伝教大師最澄の言葉で、金谷さんの座右の銘になっている。「自らが一生懸命打ち込めることで、それが他人の利益になることであれば、それはあなたがやるべきこと、つまりは天職なのです。だから嫌なことを無理にやる必要もなく、もちろん、他人の犠牲になる必要もありません。

ラジオの放送作家としてのキャリアスタートから一貫して、予備校で日本の歴史、現在の活動に至るまでみずからが一生懸命打ち込み、「日本人の美徳や精神」を伝え続けることで、「自利利他」を実践している。

 

プロフィール

1967年、京都府出身。 予備校「東進ハイスクール」の日本史講師として活躍し、数々の衛星放送講座を担当。「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ネプリーグ」(フジテレビ系)などテレビにも多く出演。現在は、一般財団法人日本普及機構の代表理事として、「日本」「歴史」の魅力を人々に伝える活動を行っている。 近著に『今の日本がここから見える! 「米中韓」と日本の歴史』(朝日新聞出版)、『日本人なら知っておきたい日本史の授業』『日本人の美徳を育てた「修身」の教科書』(PHP研究所)など。